天下の難所! 親不知天険
糸魚川に通いだしてもう5年は経つかと思いますが、いわゆる観光名所はあんまり行っていません。
時間があれば海岸か川でヒスイ探してばっかりだからですね😅
とはいっても、温泉は好きなので時々満喫しています。
今でこそ、糸魚川市内から富山県境まで行くには、国道8号線もしくは北陸道を車で行くか、えちごトキめき鉄道で電車ルートが使えます。
が、その昔はどうだったのか?
糸魚川市の親不知から市振あたりまでは、ちょうど北アルプスの北限となっていて、断崖絶壁の交通の難所でした。
なんと、明治初期までは、海岸線を波のない時に走り抜ける!しか方法がなかったというんです。
いえ、無理やり山越えするという手もあったようですが、何しろ険しい山だし、その間は何本か川も流れていて、そのたびに沢まで降りてまた登る・・・蛇とかイノシシとか猿とか熊とかいろいろ出るし・・・
というわけで主に海岸ルートを何とか天候と波と相談して、走って通っていたわけで、それがあまりに大変なので、親子でもお互いを顧みる暇(いとま)もない、ということで「親不知(おやしらず)」「子不知(こしらず)」と呼ばれているとか。
江戸時代、加賀藩の参勤交代の時には、「波除け人足」として数百人(500人以上もの人)で麻縄を持ち殿様を守りながらこの難所を通ったというんですから、どれだけ大変だったか伺えます。
市振側から親不知を望む
この断崖絶壁を、なんと船上から見せていただく機会とご縁に恵まれました。
ベタ凪のこの日、天気も上々、海水は透明度が高く、3m以上の深さまで余裕で見通せるという条件で、なんとも絶景でした。
まず見えてきたのは、「波除観音」
その昔、波に子供が攫われた親が祈っていると、波に乗って子供が戻ってきたので、感謝の気持ちで祀ったと言われる。
地上何メートルあるのか、かなりの高さのところに丸いものが見え、そこに観音像が彫られていました。
そこを過ぎるとすぐに、親不知観光ホテル下の浜が見えてきました。
私は降りたことがないのですが、長く続く階段が天に向かってそびえているような景色でした。
親不知観光ホテル下海岸 2021.6.12 - YouTube
そして、ここからが本当の難所。
まずは【大懐(おおふところ)】海に向かってまっすぐな洞穴でなく、東方面に奥行きが伸びている洞穴。
次に、【小懐(こふところ)】こちらは海からまっすぐ奥が覗けます。
そこから少し行くと、【大穴】そして【小穴】。
この【大懐】から【大穴】までを【長走り】と呼ばれていたそうで、波が来ないうちに走り抜けていたのでしょう。
海岸沿いを通るときに波が来たら、これらの穴に避難したという天然自然の避難所。
親不知天険 大懐〜小懐〜大穴〜小穴 2021.6.12 - YouTube
今回船はここまでしか行きませんでしたが、このあとすぐに「浄土」と呼ばれる浜があり、そこまで行けたら極楽浄土、という意味で呼ばれていたようです。
市振側を望む
google mapで見るとこんな感じですが、アップにしてみても、浜のあるところなんて少ししか見えません💦
どれほど多くの命が海の藻屑と消えていったのか…その危険なルートも、明治天皇の行幸にあわせて、1883年(明治16年)に絶壁を切り開いて市道・親不知天険線が作られ、多くの人々が安全に行き来できるようになりました。
とは言っても、山越えであることに変わりはなく、そのすぐ後にレンガトンネルが作られたとのこと。
今もそのトンネルは通れるようですが、中が真っ暗でなんとなくコワくて、まだ行ったことがありません😅
その後、80年ほど経ち、国道8号線が作られ、さらには北陸自動車道が開通しました。
自然と歴史の壮大な関係を目の当たりにできる、素晴らしい場所ですね、糸魚川。